ブラック企業と叩くのは勝手だけど…というお話。

過重労働、残業未払い、労働基準監督所、是正勧告。
このあたりの労働環境絡みの問題に含まれるキーワードは毎日目にします。

ダメなものはダメであって違法行為を肯定するつもりはまったくない。
けど、こういう問題の本質みたいなもんを、おぼろげにでも考えている人ってどのくらいの割合いるのかなーと、よく考えたりします。

例えば運送業界の問題

transport
僕は以前、運送業界に居ました。
結構長いこといたので、運送業界内の事情は全て把握しています。
末端の運転手が所属する現場環境から、経営サイドの事情も全て。
絶対に需要ないでしょうけど、もしもこの業界の暴露本なんてもんが売れる世の中ならば、僕は小金持ちくらいにならなれる気がします。

何年か前にニュースを賑わした<〇猫のクール便は荷捌き場では常温管理だった>問題とか、あんなもんは現場を知っている人間なら『何をいまさら…』なんて話だったわけですが、問題になっていないだけで『これ日本の企業なんだよね?』と目を疑いたくなるような実態が常態化していたりします。
何かとコンプライアンスだ!と小うるさい今でも。

僕は当時、保有台数100台そこそこの運送会社に勤務していました。
直受けもそこそこありましたが、いわゆる下請け企業です。
あちこちの大手企業に入り込んでましたから(業界ではこれを傭車と言います)ほんとに色んな経験をしました。
ペリカン、黒猫、飛脚、カンガルー、熊、パンサー、あとは…なんたらビール物流とか、なんとかライナーとか、大手という大手は全て出入りした気がします。

運送評論家なんて職業があったら絶対これ一本で食っていけるんですが…w

 

ハッキリと明言しますが、運送会社といえども大手ならクリーンというイメージがあるのは、ドぎつい仕事は下請けがこなしているからです。
きっとこんな事は運送業界に限らずほとんどの業界で同じようなもんですけど。
まぁ、事細かに運送業について語るのはトラック協会なり流通新聞なりに任せるとして、僕はわかりやすい上っ面の部分だけ書いてみます。

一番簡単なコストカットは人件費

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とても便利なネット通販。
僕はよく利用します。
『ネットで買えない物ってなんだと思う?』
…そう聞かれたら『えー、なんだろう?』と少し考えてしまいます。
そのくらいネット通販て、今ではなんでも買えますよね。

 

近所の店へ自分で買いに出かけるよりも安くて、指定した時間に持ってきてくれて、しかもほとんどが送料無料。
重たかろうが大きかろうが玄関先まで持ってきてくれて本当に便利。
金さえあれば最早この世の中、一歩たりとも家を出ることなく生きていけます。

これだけ安くて安全、確実なサービスの維持を、ただの1つも法に抵触することなく健全経営。

…そんなこと出来るわけないじゃん。

 

徹底的に要所でコストカットして価格に反映できる企業努力を限界まで重ねて、限界を超えた分は人件費削って誤魔化してんですよ。
それでも更にコストカットの必要が出れば低価格で請け負ってくれる下請け探して、価格的な問題とセットで下請けに流してやり過ごすわけです。

安い単価でなんとかやり繰りしなきゃならない下請け企業ができる事って、もうこの時点で選択肢は多くないんですよね。
仮にこれが運送会社なら、体力にものいわして過重労働で頑張るとか、高速代けちって下道で頑張るとか『実はそれって結果的に余計経費かかんじゃねーの?』みたいなその場しのぎしかできなかったり。
運転手って<車の運転さえできれば金になる!>とか安易に考えている人が、それなりの割合いるのも残念ですが事実なので、無理したら無理した分だけ金になると思って会社から言われたら頑張っちゃうんですよね。
もちろん、ちゃんとリスク管理の事も頭に置いて真面目に仕事してる人がほとんどですが。

少し話はずれますが、何か事件が起きて職業がトラックの運転手だった場合に、ニュースで読み上げられる肩書が『会社員』ではなく『トラック運転手』と呼称されることに、元業界関係者の人間としては差別的なものを感じて違和感を覚えます。

トラックの運転手は気性が荒くて乱暴者とか、一昔前の映画みたいなイメージでも持たれてるんでしょうかね。

行政が動くのは大事件になった時だけ

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<下請けいじめは法令違反です!>なんて言われたって、下請けが『いじめられてます』なんてなかなか言えるわけもなく。
言えるわけがないから『いじめ』って言うんですよ。

運送業界だけでなく、全ての業界で健全経営ごっこしてられるのは、一部の大手企業のみ。
経済誌とか読んでると『最終的に生き残れるのは大手のみ』なんてタイトルをたまに見ますが、そんな事は絶対にない。
無理難題を押し付けられる下請け中小がいなきゃ、清廉潔白法令遵守な大手なんてものは生き残れません。

 

      リストラ率ゼロ。

正社員なんてそんな面倒なもん切るわけないじゃないですか。
人材が必要なくなったら下請けを切るんですよ。
ゴッソリまとめて会社ごと。

問題の元凶

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極論を言えば、元凶は社会のずれた感覚なんじゃないの?
などと一般人な僕は思う訳ですが、経済学者と名乗るような人達なら、もっとカッコよくソレっぽい答えを持っているんでしょうか。

 

高品質で安全。
なおかつ安い。
これを当たり前のこととして追及する社会って、ちょっと無理があるんじゃないのかなーと。
食べ物でもなんでも、勝手にそこらの地面から自生してくるわけじゃあるまいし。

ワンコインで食べられるランチメニューとか、毎週〇曜日は牛丼一杯プレゼントとか、物の価値っていったい…なんて考えることがここ何年かで増えました。
低価格と高品質がどこまで共存できるものなのか知りませんが、結局限度を超えた分のしわ寄せは回り回って自分に返ってくる気がします。

働いても働いても給料上がらない…ソレが、ソレなんじゃないの?とか思う訳です。
有識者が聞いたら、なんたらスパイラルとか言葉遊びを始めそうです。

暴力に訴える過激なのは絶対ダメだけど

日本の各種業界団体も海外のように本格的なストライキとかしてみればいいんですよ。
デモじゃなくてストライキ!

『値上げさせてくれなきゃ牛丼つくらねーぞ!』
『適正運賃くれなきゃトラック運転してやんねーぞ!』

 

…要求飲まなきゃテコでも動かねー!的なね。
業界一致団結して行動を起こしてみりゃいいんです。
物流業界とか先駆けでやると、経済の根幹に位置する業界だけに、案外色んな分野に波及して社会全体が変わるかもしれません。
…本気で物流業界がストライキ起こしたら、経済破綻するような気もしますが。

まとめ

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些細な事で袋叩きにされるご時世だから、一般人も企業も優等生を演じることに必死すぎ。
叩く側は叩く側で、今ある物が全て当然だと勘違いしてんじゃないですか?
何でもかんでも綺麗ごとだけで回るほど、世の中単純じゃないし都合よくもない。

『無理なものを無理というのは簡単だが…』
とか、そういうありがちな美談はもうおなか一杯。
『無理なもんを無理と言って何が悪い!』
くらいでちょうどいいんじゃないですかね。

 

現場環境改善の前に、時代にそぐわない法改正のほうが順番は先だと思うんですけどね。

まぁ、個人の見解ですが。

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